はじめに
借金整理には、任意整理、自己破産手続、個人再生手続があります。
そのうち自己破産とは、簡単にいうと、あなたの今ある財産を貸金業者に分配する代わりに、借金の返済義務を免除する手続です。
自己破産は、法律に基づく手続であり、裁判所が認めるものです。
具体的な自己破産の手続き
代理人就任通知の送付
あなたが借金している金融機関や消費者金融などの業者へ、弁護士が代理人として就任したという通知を送ります。
これ以降、金融機関や消費者金融などの業者からあなたへの連絡や督促がストップします。
また、これまでの借入履歴の開示請求をし、今後の作業を進めていきます。
借金額の確定
過払金の調査や総借金額の確定をします。
財産資料の取りまとめ家計収支表の作成
裁判所に、あなたの収入状況、財産状況を申告するため、給与明細や預貯金通帳等を取りまとめます。
借金返済が不可能な家計状況であることを示すため、家計収支表をご作成いただきます
裁判所への自己破産の申立
必要書類を取りまとめ、裁判所に自己破産の申立を行います!
裁判所の審査
裁判所から追加資料の提出を求められたり、あなたの面接が行われたりします!
免責の判断
自己破産が認められると、借金の返済義務がなくなります。
どのような場合に自己破産を選択すべきか
自己破産は、借金の完済が不能という状況に限り認められます。
したがって、任意整理や個人再生手続によって、借金の完済が可能か否かについて、まず検討をしなければなりません。
つまり、現在の借金額を36回払又は60払で完済できるかどうか(任意整理)、借金が1/5になった場合、36回払いで完済できるかどうかが自己破産を選択すべきかどうかを判断する一つの基準になります。
自己破産のメリット
借金の返済が免除されること
借金の返済が免除されることが自己破産の一番のメリットです。
ただし、税金等一部免除されないものもありますので、注意が必要です。
経済的な更生が図れること
これまで借金の返済が家計の大きな部分を占めていたはずです。
しかし、借金の返済がなくなることにより、貯金できるにようにもなり、余裕のある
生活が送れるようになります。
預貯金や保険等一部の財産を残すことができること
自己破産をする場合でも、あなたの財産がすべて失われるわけではありません。
大阪地方裁判所では、99万円の範囲内であれば、預貯金を残したまま自己破産が認められます。また、テレビや洗濯機等家電製品も残しておくことができます。
誰にも知られずに自己破産ができる場合があること
ご両親や配偶者に知られずに自己破産ができることもあります。
住民票や戸籍等に破産の記録が表示されることはありません。
選挙権は失われないこと
よくある誤解の一つに選挙権の事が挙げられます。
破産手続と選挙権は無関係ですので、自己破産をしたとしても、選挙権が失われることはありません。
自己破産のデメリット
新たな借金ができなくなること
自己破産をするとあなたの経済的な信用がなくなり、いわゆるブラックリスト(信用情報)に載ります。そのため、一定の期間、クレジットカードが利用できなくなったり、ローンが組めなくなります。また、誰かの保証人になることもできなくなります。
ただし、借金を行わないことにより、健全な家計状況を維持できるというメリットでもあります。
自己破産できない職業があること
自己破産を行う場合には、一定の職業の方は仕事を辞めていただく必要があります。
例えば、警備員や会社の役員をしている場合などです。
ただし、自己破産の手続がすべて終了した後は、問題なく、再就職していただくことが可能です。
保証人に対して請求がされること
あなたの借金について、どなたかが保証人になっている場合、あなたが自己破産をすると保証人に対して請求がされることになります。
したがって、自己破産を行う前に保証人に説明をしたり、保証人の方も同時に自己破産をすることの検討が必要です。
自宅不動産が失われること
自宅不動産を残したまま自己破産をすることができません。
そのため、持家の場合、引っ越しをしなければなりません。
自宅不動産をどうしても手放したくないという方は、自己破産ではなく、任意整理や個人再生手続を選択することになります。
官報に掲載されること
自己破産をすると、国が発行している新聞のようなものである官報にあなたの氏名や住所等が掲載されます。
しかし、あなた自身よくご存じないように官報を読んでいる方はほとんどいません。
また、インターネットの検索であなたのお名前を検索したとしても、表示されることがないのが実情です。