目次(もくじ)
はじめに
借金整理には、任意整理、自己破産手続、個人再生手続があります。
そのうち、任意整理とは、自己破産手続、個人再生手続と異なり、裁判所を通さずに、弁護士が直接金融機関、消費者金融等の業者と借金の減額交渉や分割交渉などを行うことをいいます。
具体的な任意整理の手続きの流れ
1.代理人就任通知の送付
あなたが借金している金融機関や消費者金融などの業者へ、弁護士が代理人として就任したという通知を送ります。
これ以降、金融機関や消費者金融などの業者からあなたへの連絡や督促がストップします。
また、これまでの借入履歴の開示請求をし、今後の作業を進めていきます。
2.借金額の確定
過払金の調査や総借金額の確定をします。
3.月々の返済可能額の検討
あなたの家計状況と相談し、月々の返済可能額を検討します。
4.債権者との減額・分割交渉
債権者と、減額・今後の利息のカット・分割交渉を行います。
5.和解書の作成
和解内容につき、文書を作成します。
6.和解書に基づく支払の開始
和解書の内容に基づき、月々の支払いを開始していただきます。
どのような場合に、任意整理を選択すべきか。
債権者との交渉では、遅延損害金並びに将来の利息を付さないという提案を行います。
つまり、現在の借金額を分割返済するのみで、今後の利息をカットするという提案です。
また、多くの債権者は、36回分割、60回分割であれば、和解に応じる傾向があります。
したがって、現在の借金額を基準として、36回分割、60回分割であれば、借金の完済が可能かどうかが任意整理を選択すべきかどうかの1つの基準になります。
任意整理のメリット
直接の取り立てがストップします
任意整理は、弁護士が直接業者と交渉することになりますが、任意整理が始まると業者は弁護士と交渉しますので、あなたに直接の取り立てや電話をしなくなります。
したがって、これまで督促で不安な日々が続いていた苦悩が解消されることになります。
今後の利息がカットできる可能性があります
リボ払いで返済されている方などは、大きなメリットがあります。
ご家族や勤務先に知られることはありません
任意整理を行うと弁護士が窓口になりますので、督促や連絡がくることがなくなります。
また、裁判所を通す必要がありませんので、ご用意いただく資料も少なくて済む場合があります。
すべての場合にご家族等に知られることがないとはいい切れませんが、ほとんどの場合は、誰にも知られずに任意整理の手続をとることができます。
1社だけの任意整理も可能です
支払額を減らしたい1社だけの任意整理も可能です。
①過払金調査により、元本の減額、過払金の返還が受けられる可能性がある。
②交渉により、利息の減額・免除が受けられる可能性がある。
③返済方法の変更ができる可能性がある。
④専門家に依頼することにより、交渉の負担がなくなり、業者の訪問、電話を無くすことができる。
官報に公告されない
官報に公告されません。
任意整理のデメリット
新たな借入ができなくなることがデメリットといえます。
任意整理を行うとあなたの経済的な信用が低くなりますので、今後一定の期間は、新たな借入ができなくなったり、ローンを組めなくなったり、保証人になったりすることはできなくなります。
しかし、発想を変えれば、今後新たな借り入れが増えず、経済的更生を図ることができるというメリットでもあります。
①専門家が介入した時点で、信用情報にキズが付く(いわゆるブラックリスト)。
その結果、クレジットカードの利用ができなくなったり、ローンを組めなくなる。
②専門家に支払う報酬が別途必要になる。
③交渉が上手くいくとは限らない。
④交渉の間は、支払いをストップしていただくことから(借金の額を固定するため)、交渉が長期間まとまらないと未払いとして訴訟を提起される可能性がある。
スケジュール
1か月から3か月程度が目安
①専門家としての就任通知及び取引履歴の開示要求→②取引履歴に基づいて過払金調査→③借金が残っている場合、交渉をスタート→④交渉がまとまった場合、合意書の作成